(3)大型化 起重機船の国内最大能力は、4,100トンであるが、既に吊り上げ対象としては、7,000トンを越える橋梁のような構造物を複数の起重機船による作業の実例があり、国内では対応できる。しかし、今後の国際化の中で複数隻の海外稼働には問題があり、それらの対応を考慮すると国際航海ができる自航式の8,000トンクラスが必要になってくるのではと思われる。 (4)多目的化と単一目的化 本来、起重機船の基本機能そのものが多目的である。したがって、稼働率の向上を考慮すれば必然的な流れであるといえる。しかし、一方、工事内容、工事規模及び施工場所によっては、5章の6項の「ヨーロッパにおける橋梁建設事例」で紹介した大型起重機船(約7,000t吊)は、この工事の専用作業船として建造された。この起重機船の特徴は、起重機部を固定ガントリー構造とし耐候性を向上させ、併せて優れた搬送機能と操船性能をもたせた作業船である。 このように単一目的として作業船の開発も施工技術の開発の一環として必要ではないかと思う。 4.おわりに
今後の作業船の技術開発としてのあり方については、作業船技術のメカトロ化や制御技術の高質化は、確かに作業船の性能を高めており、これからの技術開発の一つの方向であると思う。しかし、作業船技術の開発はやはりハード技術であり、このハード技術の発展なくして、作業船技術の大幅な飛躍は期待できない。 作業船のユーザーとメーカーのより一層の技術協力が、また、産・学・官の適切な役割分担による効率的、広範囲な研究開発が一段と望まれるときと思う。
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